プライマリ・ケア医のための「みみ・はな・のど」・6
嗅覚の障害
藤村 聡
1
,
伊藤 壽一
1
,
福井 次矢
2
1京都大学医学部附属病院総合診療部
2京都大学医学部附属病院耳鼻咽喉科
pp.444-445
発行日 2002年5月15日
Published Date 2002/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903532
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人間の5感の1つである嗅覚の障害は,視覚や聴覚障害に比べ軽視されがちな傾向にある.しかし,嗅覚障害を訴える患者の頻度は意外に高く,とくに80歳以上の高齢者では約80%に嗅覚障害の訴えがあるとの報告もある1,2).確かに,「においがしなくなった」という訴えはプライマリ・ケアの臨床現場でもしばしば遭遇するが,緊急性がない場合が多く,医師も患者も「そのうち良くなる」と考えがちで,診断や治療がおろそかになる傾向がある.ところが,嗅覚障害は表1に示すように日常生活にさまざまな支障をきたし,決して軽視できる疾患といえない.本稿では,プライマリ・ケアの現場で可能な嗅覚障害の診断と治療について概説する.
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