特集 新世紀のかぜ診療
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原 朋邦
,
藤本 卓司
,
伊藤 博之
,
安倍 隆
pp.1042
発行日 2001年11月15日
Published Date 2001/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903393
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Q1 かぜの治療に抗生物質は本当に不要で しょうか.
A ウイルスの感染に抗生物質が無効なのはどなたもご承知のことでしょう.明らかなウイルス感染症に抗生物質を使うと,耐性菌が増加することもよく知られている事実です.かぜに併発することが多い中耳炎についても,抗生物質使用群と非使用群では,鼓膜穿孔が起こる頻度に差がない,経過を短縮しない,滲出性中耳炎の頻度に差がないとする論文は多く,副鼻腔炎についても同じような論文があります.少なくとも,抗生物質を急いで投与することのメリットはないようです.細菌感染症らしい所見をとらえてから抗生物質を投与することで,治療は十分できると考えてよさそうです.ただし,フォーカスのはっきりしない発熱患者に抗生物質を投与して評価した(random―ized control trialsによる)論文はないようで,悪いと明確に示された証拠もないことになります.抗生物質を投与するのは,自分が手抜きをしなかったという理由によっているという調査報告があります.
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