特集 浮腫からのクイックアプローチ
関連症例
"エコノミークラスシンドローム"の1例/下肢の浮腫の増強を呈した肝臓癌の1例
川村 亮機
1
,
土谷 茂樹
2
1五ヶ瀬町国民健康保険病院
2土谷医院
pp.307
発行日 2001年4月15日
Published Date 2001/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903220
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昨年末,飛行機を降りた旅行者が急死し,新聞やテレビなどのメディアで一時話題をさらい,にわかに深部静脈血栓症が問題となった.
これは,以前から"エコノミークラスシンドローム"あるいは"旅行者血栓症"といわれ,飛行機で長時間にわたる窮屈な同一姿勢を続けることがその原因である.すなわち,同一姿勢のために下肢の血流が停滞し,さらに脱水が重なると,深部静脈(とくに左腸骨静脈が腸骨動脈を乗り越えるので,左側腸骨~大腿静脈)に血栓症を引き起こし,飛行機を降りた直後,あるいはその後数日以内に肺塞栓症を続発し,しばしば重篤な病態を呈する.50歳台の女性に多く,欧米ではしばしば問題となるが,日本ではむしろ手術後の臥床に引き続く肺塞栓症による急死が医療紛争の一つとなっている.先天性に凝固・線溶系に異常を示す患者さんでは,生涯にわたる抗凝固療法が勧められる.
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