再評価後の漢方治療入門―もう一度随証治療・8
炙甘草湯と柴胡加竜骨牡蛎湯(その2)
坂口 佳司
1
1坂口循環器科内科医院
pp.747-750
発行日 1999年8月15日
Published Date 1999/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414902800
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
「動悸」の治療に用いる漢方処方として,前号では炙甘草湯を取り上げたが,引き続き柴胡加竜骨牡蛎湯について述べることにする.前回に述べたように,動悸,不整脈は虚労=疲労状態を基礎に起こることが多いようである.炙甘草湯は,その作用機序は明らかではないが,疲労を回復させ,疲労に伴う動悸,不整脈に広く応用される.
柴胡加竜骨牡蛎湯は,柴胡桂枝乾姜湯と同じく精神神経系の症候に用いられ,虚実の違いはあるが,共に「漢方の精神安定剤」とも呼ばれる処方である.したがって,一般的にいわゆる心臓神経症に用いられ,動悸を目標にする際にも,心気症的で精神的要素の強い場合によいようである.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.