EBM時代の生薬・方剤の使い方 [第4回・方剤編]
大黄甘草湯
原澤 茂
1
1埼玉県済生会川口総合病院消化器内科
pp.361-364
発行日 2004年4月1日
Published Date 2004/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100798
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大黄甘草湯は三世紀初頭の漢方医学書『金匱要略』に初出する処方であり,大黄と甘草の2味で構成される漢方処方のなかでは最も簡単な処方に属する.方意としては,便秘を目標に応用するが,大黄を単味で用いるとその強力な瀉下作用により,腸管の蠕動運動が惹起され腹痛などの副作用が現れる場合があるので,平滑筋や横紋筋の攣縮抑制作用(緩急止痛作用)のある甘草を配合したものである.
本処方は単独で用いられることも多いが,ほかの処方に組み込まれて使用されることも多く,例を挙げれば,乙字湯,大柴胡湯,潤腸湯,桃核承気湯,防風通聖散,調胃承気湯,通導散,桂枝加芍薬大黄湯など,それぞれの証にあわせて用いられる処方であるが,共に便秘という適応を持っている.
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