胸痛＋動悸

Case

緊急の対応を要する症例

1　感冒様症状から突然に重篤病態へ急変した症例

　患者：29歳，男性．数日前から微熱，倦怠感があり近医にて上気道炎との診断で内服薬を処方され通院していたところ，夜中に突然頻拍となって前胸部から背部に締めつけられるような痛みを感じるようになり，同医を緊急受診した．胸痛に動悸と息苦しさが加わって不安感が強まっていたが，胸部X線上心陰影の拡大と肺炎に肺水腫の合併をうかがわせる像が確認された．また，心電図上約110回／分の洞性頻脈と肢誘導および胸部誘導でST上昇を認めたため，大学病院へ転送された．同院にて心エコー図上心膜液貯留と心室壁の浮腫および収縮運動低下が認められ，血液検査にてGOT,CPKの上昇がみられたため，急性心筋心膜炎と診断された．