増刊号 産婦人科医のための緊急対応サバイバルブック
Ⅲ. 産科編
❶症状・所見からみた疾患鑑別
妊婦が胸痛・動悸・息切れを訴えて来院した!(循環器系症状)
金川 武司
1
1国立循環器病研究センター産婦人科
キーワード:
動悸
,
息切れ
,
周産期心筋症
,
肺血栓塞栓症
Keyword:
動悸
,
息切れ
,
周産期心筋症
,
肺血栓塞栓症
pp.201-204
発行日 2024年4月20日
Published Date 2024/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409211226
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37歳,初産婦.既往歴なし.体外受精で妊娠が成立した.非妊娠時体重58kg(BMI 24).妊娠38週に血圧が140/94mmHgの上昇を認めていたが,尿蛋白は陰性であった.体重は67kgであった.妊娠40週2日に陣痛が発来し経腟分娩に至った.分娩後は呼吸困難の症状なく産褥5日目に退院した.退院時体重は67kgであった.
退院後より体調が優れず,退院後翌日より呼吸困難感が出現した.同日の産褥6日目に救急外来を受診した.受診時の評価で血圧141/119mmHg,心拍数156回/分,呼吸数30回/分,体温36.8℃,酸素飽和度95%(酸素3L/分)であった.胸部X線写真で心拡大,胸水,肺うっ血を認めた(図1).心エコーでは左室駆出率は20〜30%.急性心不全の診断がなされ,フロセミドとカルペリチドが開始されたが,改善されないため循環器専門病院に搬送された.
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