JIM臨床画像コレクション
心臓血管系作働薬による扁平苔癬型薬疹
久保田 由美子
1
,
今山 修平
2
1福岡大学皮膚科学教室
2九州大学皮膚科学教室
pp.541
発行日 1997年7月15日
Published Date 1997/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414902188
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高齢化に伴う心臓血管系作働薬の使用頻度の増加に比例して,それによる薬疹も増加傾向にある.特に扁平苔癬型薬疹では,薬剤の投与開始から発疹の出現までの期間が長く,平均9カ月であり,発症まで数年を要する例もまれではない.長期服用中であっても,皮疹を生じたときは心臓血管系作働薬を原因として疑う必要がある.
扁平苔癬は炎症性角化症であり,臨床および組織所見は極めて特徴的である.四肢(関節)屈側,口唇,口腔粘膜,陰部に好発し,灰白色線条を伴う紫紅色扁平隆起性局面が散在性,集簇性にみられる.病理組織学的には,表皮顆粒層の肥厚,鋸歯状の表皮突起,表皮真皮境界部の帯状のリンパ球浸潤を認める.原因は不明で,通常2~3カ月から数年の間で慢性に経過するが,約2/3の症例が1年以内に自然消退するといわれる.薬剤やカラーフィルム現像液により本症に類似の皮疹が生じることがある.
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