臨床研究
沖縄県における成人T細胞白血病・リンパ腫
池原 修
1
1沖縄県立中部病院内科
pp.239-242
発行日 1997年3月15日
Published Date 1997/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414902109
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目的:沖縄県立中部病院にて経験した成人T細胞白血病・リンパ腫(adult T-cell leukemia/lymphoma;ATL)の臨床的検討から,沖縄県におけるATLの臨床的特徴を明らかにする.
対象・方法:1982年7月より1994年8月までの約12年間に経験した201例を対象とした.悪性リンパ腫におけるATLの占める割合,また,ATLの重要な合併症である日和見感染症および高カルシウム血症について臨床的検討を行った.
結果:抗HTLV-I (human T-lymphotropic virus-I)抗体が測定された悪性リンパ腫263例のうち201例(76.4%)がATLであり,当院の悪性リンパ腫の約3/4をATLが占めていた.日和見感染症では糞線虫症が最も多かった.急性型の74.0%,リンパ腫型の43.1%に高カルシウム血症の合併が認められ,病的骨折を併発した例も少なくなかった.
まとめ:沖縄県の1県立病院での検討ではあるが,当県の悪性リンパ腫の大部分をATLが占めると思われた.また,他府県の症例に比較して糞線虫症の合併が多いことが1つの特徴であった.
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