Update '96
腎超音波スクリーニングは腎不全予防の有効な手かかりとなりうるか?
伊藤 雄平
1
1久留米大学医療センター小児科
pp.912
発行日 1996年10月15日
Published Date 1996/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901976
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小児腎疾患攻略のための最終目的は腎不全の予知・予防である.学校検尿が効率的に運用されるようになり,慢性糸球体腎炎は早期発見が可能になった.腎不全の原因となりうる次の標的疾患は腎尿路異常と考えられる.腎尿路異常を尿試験紙による検尿で早期発見することは非常に困難であり,発見時にはすでに腎不全に進行していることもある.現在のところでは超音波診断が唯一特異性が高く効率的な検査法であろう.
すでにいくつかの地域で,保健所を中心に超音波スクリーニングが行われている.われわれはパイロットスタディとして久留米保健所で1988年7月から1995年3月まで3歳時健診に併行して超音波診断を希望者全員に行ってきた.その間15,642名をスクリーニングし,最終的に223名(1.4%)が超音波上での有所見者であった.異常所見として最も多かったのは中心部エコーの解離像(85.2%)であった.223名中,そのままに経過観察していれば腎障害を来すと判断し,手術を行ったのは9例であった.
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