Update '96
HDLレセプターのクローニング
伊藤 利光
1
1防衛医科大学校第1内科
pp.909
発行日 1996年10月15日
Published Date 1996/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901974
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Acton S et al.Identifintion of scavenger receptor SR-B1 as a high density lipoproein receptor.
Science 271:26, 518-520, 1996
血漿高比重リポ蛋白(HDL)コレステロール濃度と冠動脈疾患の発症には負の相関関係があるとされているが,その詳細なメカニズムは不明である.HDLは生体において,コレステロール逆転送系と呼ばれる系により,末梢に過剰に蓄積したコレステロールを引き抜き肝臓まで運ぶとされており,また,副腎や卵巣などのステロイド合成組織へのコレステロールの供給などにおいて重要な役割を果たしているとされている.低比重リポ蛋白(LDL)の代謝においてはLDL受容体による細胞内へのLDL取り込み機構など,かなり詳細に解明されているにもかかわらず,HDLの受容体はそのクローニングをはじめ,多くの部分が謎であった.LDLは血管壁において酸化修飾などを受け,修飾LDLとなると,LDL受容体には認識されず,マクロファージのスカベンジャー受容体により認識され,細胞内に取り込まれ泡沫細胞を形成することが明らかにされている.スカベンジャー受容体にはスーパーファミリーが存在することが知られている.筆者らは,このスーパーファミリーの研究を行っていたところ,クラスBのスカベンジャー受容体SR-B1がHDLに特異的に結合する蛋白であることを見いだした.
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