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特集 腎疾患治療薬 フロントライン
各論
第2章 慢性腎臓病・透析合併症
31.高血圧:アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬
Angiotensin converting enzyme inhibitors
松元 慈
1
,
松木 孝樹
1
,
中川 直樹
1
Matsumoto Megumi
1
,
Matsuki Motoki
1
,
Nakagawa Naoki
1
1旭川医科大学 内科学講座 循環器・腎臓内科学分野
キーワード:
慢性腎臓病合併高血圧
,
RAS
,
ACE阻害薬
,
ARB
Keyword:
慢性腎臓病合併高血圧
,
RAS
,
ACE阻害薬
,
ARB
pp.289-294
発行日 2025年11月15日
Published Date 2025/11/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000002149
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1 はじめに
アンジオテンシン変換酵素(angiotensin converting enzyme:ACE)阻害薬は,アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(angiotensin receptor blocker:ARB)とともに,高血圧をはじめレニン・アンジオテンシン系(renin angiotensin system:RAS)が亢進する病態を制御することで治療効果を発揮する。アンジオテンシンⅠ(Ang Ⅰ)からアンジオテンシンⅡ(Ang Ⅱ)への変換にかかわるACEを阻害し,Ang Ⅱおよびアルドステロンの血中濃度を減少させることで血管収縮や腎からのナトリウム(Na)再吸収を抑制し,降圧効果を示す。また心保護および腎保護作用を示すことが多く報告されており,特に心不全・心筋梗塞におけるエビデンスは豊富で,日本循環器学会などによる「2025年改訂版 心不全診療ガイドライン」では左室駆出率40%以下の患者に対してはARBよりもエビデンスレベルが高い位置づけとなっている1)。慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)合併高血圧においては,ACE阻害薬とARBを直接比較した報告は少ないが,一般的には効果は同等とされている。ARBに比してACE阻害薬は,降圧効果の面では同等からやや劣るとされるが,わが国における用量設定が欧米と比較し少ないためとする指摘もある2)。

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