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特集 更年期外来
更年期外来の基本
外来での更年期患者の治療の進め方
Treatment of Climacteric Outpatients
太田 博明
1
1慶應義塾大学産婦人科
pp.114-118
発行日 1995年2月15日
Published Date 1995/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901415
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更年期患者の治療に至るまで
更年期の年代の患者に対し,更年期障害であるとの診断をするまでが1つのポイントである.更年期障害は除外診断によって成り立っており,重篤な器質的疾患をかぎ分け,見逃さない1)ことが最も重要である.器質的な疾患の存在を少しでも危惧することがあったならば,他科にコンサルティングすることを躊躇してはならない.また,更年期障害の治療中においても,新たに器質的疾患の罹患を合併することがあるので,ただ漫然と治療を繰り返していてはならない.病態の変化を的確に把握し,独特の勘を働かせるべきである.
更年期障害であるとの診断のポイントとしては,①更年期の年代であること,②愁訴が1つでなく多岐にわたること,③愁訴が固定的でなく,時々刻々変化に富んでいること,④独特な更年期の愁訴,例えば「ほてり」,「発汗」,「肩こり」,「頭痛」などが含まれていること,⑤精神・神経症状である不安感,イライラなどの愁訴があること,⑥更年期障害の治療によく反応すること,などが挙げられる1).中でも⑥はおろそかにできないポイントである.すなわち,器質的疾患を除外するための検索を進めていく間でも,更年期障害の可能性が高いならば診断と治療の両方の意味合いを狙って,直ちに治療を開始するのも一法である.この分野は診断と治療が必ずしも明確に区分できるものではないことから,診断と治療を同時に進めていくことも重要である.
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