忘れられない患者さんに学ぶ
遡ってよく調べること
松本 文六
1
1医療法人財団天心堂へつぎ病院
pp.1063
発行日 1994年12月15日
Published Date 1994/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901355
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私は,1971年に医師となり,8年間は小児のみを対象としていた.10年目から大人の診療に携わり,今は大人しかみることはない.医師は,その駆け出しのころの忘れ得ぬ患者さんとの出会いによってその後の臨床力が決められると私は思う.
症例1は生後7カ月の男児.1976年3月16日夕より下痢が始まり,3日目より頻回(10~15×/日)となり,嘔吐が始まる.4日目,コーヒー残渣様吐物が見られ,無尿となり,入院.入院時,鼻翼・陥凹呼吸がみられ,脈拍180/分であった.BUN 70mg/dl, K 6.9mEq/l, LDH 822 IUで,私は急性胃腸炎(乳児嘔吐下痢症)による脱水と診断.主治医および他の内科・外科医は,急性腎不全あり,腹膜潅流の適応ありと判断し施行したが,入院48時間後に死亡した.
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