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特集 臨床医のコモンセンス・1―内科医に必要な他科知識
外科
下肢の血管性病変
Vascular Disorders of the Lower Limbs
奈良 貞博
1
Sadahiro Nara
1
1東京都済生会中央病院外科
pp.856-857
発行日 1992年10月15日
Published Date 1992/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900589
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- Abstract 文献概要
・日常頻度の高い下肢の動脈疾患は慢性の経過をとる閉塞性動脈硬化症(ASO)とBuerger病(TAO)が挙げられ,静脈疾患は静脈瘤が挙げられる.ASO, TAOの病態は下肢の虚血,静脈瘤のそれは静脈弁機能不全による血流の逆流,うっ血である.
・ASOとTAOは虚血症状の発症年齢と動脈閉塞部位から多くの場合鑑別できる.閉塞部位の最も基本的な他覚的診断は脈拍の正確な触知である.閉塞部位がわかれば治療方針もある程度予想でき,造影などの検査の重点をどこにおくかを知ることができる.静脈瘤は不全弁の部位を正確に診断することが重要である.超音波ドップラー法による逆流部位の検査が簡単で再現性が高く実用的である.
・虚血症状が軽度な症例は薬物療法が主体となるが,安静時疼痛,潰瘍などの症状がある症例は放置すれば下肢切断の危惧があるため時期を失うことなく血管外科医にコンサルトする.静脈瘤では血液逆流,うっ血による重量感,腫脹を主訴とする症例または合併症として血栓性静脈炎,皮膚炎,潰瘍を併発した症例が手術適応となる.
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