日常診療のOne Point Advice
「下血」を来す疾患の診断のポイント
桜井 隆久
1
,
稲次 直樹
1
1健生会奈良大腸肛門病センター
pp.635
発行日 1992年7月15日
Published Date 1992/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900515
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「便に血がついているのですが,大腸癌が心配で」
このような訴えで来院する患者が少なくない.いわゆる「下血」を来す疾患の診断においても系統的な病歴聴取と診察が基本である.そのポイントとしては,病歴では,いつから・発熱は・腹痛は・便の性状は・血液の量と色は・肛門の異常はなどを,診察では,貧血は・腹部の触診で圧痛は・腫瘤の触知は・聴診で腸雑音の亢進は,視診と指診による肛門の異常は・指診で血液が付着しないか・腫瘤を触知しないかなどを観察する.
下血を来す大腸肛門疾患は表1に示すごとく20を越える疾患名を挙げることができるが,その中でも発見頻度の高いものを示すとやはり痔疾患・大腸癌・大腸ポリープ・虚血性大腸炎を挙げることができる.これらの疾患の下血の特徴と診断上のポイントを以下に示す.
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