図解対症検査 消化器シリーズ・11
下血
山口 保
1
1弘大内科
pp.294-297
発行日 1972年3月10日
Published Date 1972/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204018
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下血とは,血液が肛門を通して排泄されることである.黒色で光沢のある軟便のテール便と,顕血としてみられる血便とに分けられる.テール便は,いわゆる海苔の佃煮様と形容されるが,原則として上部消化管からの出血でその出血量は50ml以上と言われる.血便は,主として下部消化管に出血巣がある際にみられる.下血は吐血と共に,消化管顕出血として,臨床上極めて重要な症状である書実地医家にとって,しばしば経験する要態であり,適切な処置を失えば,その予後は非常に重篤である.
内科と外科では,その頻度はやや異なるが,シヨック症状を伴う症例も少なくない.急性腹部症であり,輸血・輸液の救急処置を行ないつつ,外科医と綿密な連繋をとりながら,その出血の原因を決定することを迫られる.
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