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特集 癌患者の症状を緩和する
緊急に入院が必要な状態への対応
Approaches to Urgent Hospitalization
高橋 幸則
1
Yukinori Takahashi
1
1東京都済生会中央病院内科
pp.392-395
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900425
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癌患者(特に進行期)が様々な合併症を起こしやすいことはよく知られている.この中で単なる対症療法に終わらず,特異的な治療をしかも迅速に行うことによって症状を劇的に緩和することが可能な状態がある.
・脊髄圧迫症
①癌患者で背部痛を訴えたら骨への転移を疑う.→X線,骨シンチグラムにて診断する.
②しかも運動障害や知覚障害(特に下肢)が出現したら脊髄圧迫症を疑う.→緊急にミエログラフィー,ミエロCTを実施する(MRIが可能であれば最も望ましい).
③確認されたら放射線療法を開始する.
④限られた場合のみ手術適応となる.
・腹腔内出血
①肝癌患者で突発する腹痛あるいは循環不全を来した場合は腫瘍からの出血を疑う.
②腹腔穿刺にて血性腹水が確認されると確定する.
③保存療法が中心となるが,可能であれば肝動脈塞栓術を行う.
・尿路合併症
①腎後性腎不全の症例では経皮的腎瘻術を行う.
②膀胱出血の管理はまず洗浄(灌流)を繰り返し行う.難治性の場合はホルマリン液を注入する.
・癌性髄膜炎
癌性髄膜炎に対してはMTXあるいはAra-Cの髄注を繰り返す.放射線療法を併用する場合もある.
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