特集 癌患者の症状を緩和する
Editorial
「癌患者の症状を緩和する」―特集にあたって
武田 文和
1,2
Fumikazu Takeda
1,2
1埼玉県立がんセンター
2がん疼痛治療とクオリティ・オブ・ライフに関するWHO研究協力センター
pp.377
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900421
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- 文献概要
癌患者の症状とは
癌が進み臓器や組織の機能を障害するにしたがい諸症状が現れ,放置するといつまでも続く.症状を介して患者は病気の存在を意識し,症状は患者の日々の生活を制約する.
癌は治癒するときも,長い療養期間を必要とし,ある程度進行していると治癒しなくなる.患者は症状を自覚し,症状のない状態に復帰したいと思って訪医する.症状の原因をつきとめ,原因を除去して症状を除去するのが理想的な対応であることは確かであるため,主として癌の治癒に向けた治療が行われ,多くの医師が症状を直接対象とした治療に関心を示さない.このことが目に見えない大きな溝を患者との間に作ることになる.
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