今月の主題 大腸sm癌
序説
“大腸sm癌”特集に当たって
武藤 徹一郎
1
1東京大学第1外科
pp.793-794
発行日 1983年8月25日
Published Date 1983/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109384
- 有料閲覧
- 文献概要
- サイト内被引用
大腸の内視鏡的ポリペクトミーが一般的に行われるようになってから早くも10年近くの歳月が経過した.当初は本法によって早期癌がこれほど多数発見されるようになろうとは,誰も予想しなかったのではないだろうか.ところが今や内視鏡的ポリペクトミーが大腸早期癌の診断と治療にとって必要不可欠となったことは議論の余地がないと思われる.
大腸早期癌の中でもm癌の取り扱い方については,ポリペクトミーのみで根治が期待できるという点で意見が一致しているが,sm癌の取り扱い方については不明なことが多く,的確な治療方針の立てられないのが現状である.ポリペクトミーを行っていて一番悩まされるのは,実はsm癌に出会ったときであるのは,経験した方なら誰も異論はないだろう.ポリペクトミーが普及するにつれてこの問題はますます大きくなってきているにもかかわらず,各人の症例数は決して多くはないので,各人各様に悩み,治療方針を決定せざるを得ないという状況が日本ばかりか世界中で起きていると思われる.われわれの知りたいのは,ポリペクトミーされたsm癌に,どのような所見があったらどの程度の率の転移の可能性があるかということであり,腸切除を追加しないで済ませうるための条件は何かということである.
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.