法医学からみえる"臨床"・7
DOA患者をめぐって―医師と救急隊員との間で放置された溺死者
高濱 桂一
1
Keiichi Takahama
1
1宮崎医科大学法医学教室
pp.713
発行日 1991年10月15日
Published Date 1991/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900230
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事例:198○年,8月10日,司法解剖.
川で遊んでいた小学4年生の男の子が,深みにはまって溺れた.約10分後に助けられ消防署の救急隊員が病院へ運んだ.搬送の途中では隊員によって人工呼吸が続けられていた.病院では酸素吸入,心マッサージなど手を尽くしたが結局助からなかった.家族への連絡は救急隊なり警察なりからとられているものと病院では思い,引き続いて連れて来られた交通事故の重症患者にかかりきりでそのままにしていたが,あまり遅いので念のため消防署に電話をしたところ,家族への連絡は当方ではとっていないとのことで改めて警察へ電話したが,事故の届け出をなぜすぐにしないのかと叱られた.遠くから遊びに来ていた子供で連絡がついて家族が駆けつけた時にはすでに夜になっていた.連絡が遅れたことで医師を告訴すると父親が息巻き,死亡したのは病院の手落ちだと主張して司法解剖に持ち込まれた.
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