連載 ケース・カンファレンス■精神障害者へのアプローチ・12
放置患者へのとりくみ 第3報
松村 幸子
1
1川崎市中原保健所
pp.60-65
発行日 1970年8月10日
Published Date 1970/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204745
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はじめに
「今後,もっとも関心を払うべき点は,この患者が,どんな働きかけに対して,あるいはどんな生活上の出来事があった時,最も病状が動き,生活が乱れるか,この患者の生活の仕方の特徴,クセ,アキレス腱ともいうべき所を,はっきりつかんで行くことになると思われる」前回(第26巻第4号)の講評の総まとめに記されたこの方向に沿って努力しようとした半年の記録である。観察期間も短かいため,卒直にいって,本当の生活特性がつかみ得たか,疑問である。生活特徴をつかんだ上での具体的な働きかけ方はこれでよいのか? 迷いもまた一層深くなった。読者の皆さんの痛切な御批判をお願いする次第である。
その後,大まかな目標を次の3点において再出発した。①本人の生活の場の拡大に伴い生活特性をつかむこと。②家庭生活で,掃除,洗濯,ふとん干し,炊事がよりスムーズにやれるような働きかけ。③向精神薬のたすけを借りたい。現在O神経科で処方されている薬をのませる。
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