法医学からみえる"臨床"・6
頭蓋陥没を頭蓋縫合と勘違いした当直医―泥酔患者の診察は慎重に
高濱 桂一
1
Keiichi Takahama
1
1宮崎医科大学法医学教室
pp.605
発行日 1991年9月15日
Published Date 1991/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900195
- 有料閲覧
- 文献概要
事例 198○年,10月11日,司法解剖.体育の日に町の老人会がゲートボール大会を開きその慰労会の席上,些細な事で喧嘩が始まり,酒の勢いもあって72歳の老人がホウキで頭を1回叩かれた.皆でとりなしてほどなく会も終了し帰る段になったが叩かれた老人だけが異常に泥酔状で様子がおかしく,救急車で市立病院へ運ばれた.当直医は診察後,「緊急な状態ではないがかなり酩酊しているのでひとまず一晩,病院に泊めて翌朝精査をする.」との説明に家族も安堵して帰宅したが翌朝死亡していた.夜勤の看護婦はイビキが聞こえるのでよく熟睡していると思ったという.当直医の出した死亡診断書で"死因:脳出血の疑い"とあったのに喧嘩のことを知った家族が納得せず,警察が介入して解剖となった.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.