診療controversy medical decision makingのために CKDでのCa,Pコントロール治療
慎重な立場から
宮川 博
1
1公立昭和病院 腎臓内科
キーワード:
Calcium
,
血液透析
,
細胞外液
,
糸球体濾過率
,
副甲状腺ホルモン
,
石灰沈着症
,
糖尿病
,
リン
,
EBM
,
重症度指標
,
慢性腎臓病
,
Matrix Gla Protein
Keyword:
Calcium
,
Calcinosis
,
Diabetes Mellitus
,
Glomerular Filtration Rate
,
Renal Dialysis
,
Parathyroid Hormone
,
Phosphorus
,
Severity of Illness Index
,
Evidence-Based Medicine
,
Extracellular Fluid
,
Renal Insufficiency, Chronic
,
Matrix Gla Protein
pp.367-371
発行日 2008年2月1日
Published Date 2008/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2008110822
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CKDにおける管理目標の最重要課題は,心血管イベントの抑制と末期腎不全への移行阻止である.末期腎不全より高頻度ともいわれる心血管イベントの原因の一つは血管石灰化である.これについてはCa,P代謝異常が疑いなく関与しており,CKD stage 5においてとくに強く意識されていたが,より早いstageからはじまっていると考えられ,早期介入が石灰化抑制に有効である可能性はある.しかし,血管石灰化は,細胞外液のCa,Pの血管壁への単純な受動的沈着ではなく,複雑な細胞生物学的プロセスの結果起きている.何を管理すれば,血管石灰化の進展抑制,イベント抑制に効果があるのかについては,いくつかの期待される治療targetもあり,今後のデータ蓄積に期待したい.その中でP管理の重要性は臨床,基礎データで強く裏付けられているが,低ければ低いほどよいのか,CKD stage 5同様Ca非含有P吸着剤が有利なのか検証がいる.非透析期CKDに使用できる薬物が限定され,その有害性も指摘されている現状では,治療内容については慎重であるべきである.
©Nankodo Co., Ltd., 2008