Japanese
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特集 腹痛を見直す
内分泌・代謝疾患による腹痛―特に,糖尿病性ケトアシドーシスに伴う偽性腹膜炎について
Abdominal pain due to metabolic disorders
酒井 庸禎
1
Tsunesada Sakai
1
1酒井内科
pp.470-471
発行日 1991年8月15日
Published Date 1991/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900144
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ポイント
・内分泌・代謝疾患による腹痛のうち,臨床の場において遭遇する頻度の最も高いものは,糖尿病性ケトアシドーシス(DKA: Diabetic keto-acidosis)にみられる腹痛(偽性腹膜炎)である.
・DKAはI型(若年性)糖尿病の急性発症時ならびに,インスリン依存型糖尿病(IDDM)の治療中に何らかの原因で高血糖になつた時にみられる.前者で,病歴が正確に取れない時に,糖尿病と全く気付かず,外科的または婦人科的疾患と誤診する場合がある.
・DKAの腹痛では,尿糖,尿ケトンとも陽性であり,血液検査上,著明な高血糖,低Na,低C1,高K血症を認める.尿が採取不可能の場合は,簡易測定器による緊急検査で血糖および血中ケトン体の定量を行うことにより,容易に診断は可能である.
・補液およびインスリンの投与で,短時間に腹痛および悪心は改善,消失する.
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