特集 「それは古い!」と言われない 診療スタンダードUp to date
【各論】
関節リウマチ診療スタンダードUp to date
八田 和大
1
1天理よろづ相談所病院総合内科/膠原病センター
キーワード:
T 2 T
,
生物学的製剤
,
低分子量分子標的薬
,
抗CCP抗体(ACPA)
,
寛解
Keyword:
T 2 T
,
生物学的製剤
,
低分子量分子標的薬
,
抗CCP抗体(ACPA)
,
寛解
pp.493-496
発行日 2014年6月15日
Published Date 2014/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414103233
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Case
患者:Aさん.ピリン系薬剤にアレルギーのある46歳,女性.
20年前に近医で関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis:RA)と診断されるが治療されず.15年前,さらに某病院でリマチルⓇ投与されるも,発熱があり,約1カ月で中止.ミゾリビンⓇで血尿があり中断.その間,手指変形,環軸椎亜脱臼(AAD)をきたし,10年前には身障2級獲得.その後も5年前までNSAIDsのみで疼痛コントロールされた.5年前からMTX(メトトレキサート)で治療されたが,肝機能異常のため中断.再度,NSAIDs単独で疼痛コントロールとなった.肘関節の関節破壊も進行しつつあり,近医での主治医変更に伴い,当院へ紹介された.CRP 1.9mg/dl,RF100,抗CCP抗体107と高値,DAS 28(CRP)3.67.X線でもムチランス様(溶骨性)変形を呈した(図1).来院当日に,結核を中心とした感染症のスクリーニングをして,陰性結果を確認したのちに,早速抗TNFα阻害薬を開始した.関節症状は順調に軽快し,次第に炎症反応も陰転化した.
目覚ましい進歩を見せたRA診療の狭間で,実臨床の中ではこの患者さんのように,何らかの原因で良識ある治療をスルーし,放置され,時が経過し,関節破壊が静かに進行するケースもあるのだ.当院から近くの方だった.
ある日電車で彼女を目撃した.たまたま同じ駅で下車した.その足取りは確かに不便さを感じさせたものの,今までになく活動範囲が広がったその後ろ姿を見た時,遅ればせながらの本格的なRA治療が著効して本当によかったと思った.
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.