Editorial
アルコール関連問題の新展開
伴 信太郎
1
1名古屋大学大学院医学系研究科健康社会医学専攻総合診療医学
pp.919
発行日 2013年11月15日
Published Date 2013/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414103019
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アルコールは予防可能な死亡原因として,米国では,たばこ,肥満に次いで3番目に位置づけられている1).肥満が米国のような問題とはならない日本では,2番目に位置づけられるであろう.しかし,禁煙指導に比して断酒・節酒指導に関しての臨床能力の獲得はきわめてお寒いのが現状である.その理由を考えてみると,大きく3つのことが挙げられると思う.
一つ目は,たばこが『百害あって一利なし』であるのに対して,アルコールは『百薬の長』という側面もあるということである.すなわち,たばこは喫っているというだけで禁煙指導の対象となるが,アルコールはどの段階から断酒・節酒指導の対象となるかが必ずしもはっきりしない.したがってスクリーニング法をよく知っていないと,次の段階の指導に入れない.スクリーニングをするかどうかは,その頻度(外来を受診する男性の10人に1人はアルコールが健康障害の原因!)についての認識がないと,スクリーニング法を知っていても宝の持ち腐れになることは,われわれの研究からも明らかであった2).
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