特集 高齢者「主治医」事典
【多死社会と主治医】
在宅死を子どもにみせるということ
花戸 貴司
1
1東近江市永源寺診療所
キーワード:
在宅看取り
,
多職種連携
,
看取りの文化
Keyword:
在宅看取り
,
多職種連携
,
看取りの文化
pp.875-877
発行日 2013年10月15日
Published Date 2013/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414103002
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医学は日進月歩で発展し,多くの病を治せる時代になった.患者さんのなかには,ついつい不老長寿も夢でない時代がくるかと勘違いしている人もおられるようだが,「老い」を治す方法はいまだに見つかっていないのも事実である.人の一生を考えてみると,ほとんどの人生には「生・老・病・死」がある.言い換えると「死」や「老」も含めて人生のはずなのだが,われわれは生活のなかから「老」や「死」を遠ざけすぎてはいないだろうか.たとえば,おじいさんがご飯を食べられなくなると入院し,退院した後は施設に入る,寿命が訪れて息をひきとられたあとは葬儀場へ直行…なんてことは,ごく普通にある光景だと思う.しかし,日常生活から離れたところで老いて息をひきとることで,残された人,とくに幼い子どもたちの心のなかに,おじいさんやおばあさんが生きていた頃の思い出を刻むことはできるだろうか? なにより,それは本人が望んだ人生の最期だったのだろうかと問いたい.
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