特集 交通事故の予防医学
運転適性を検討する
大塚 博保
1
1交通安全研究所
pp.460-464
発行日 1996年7月15日
Published Date 1996/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901511
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自動車運転における適性
道路交通法では,第70条(安全運転の義務)で車両などの運転者は,他人に危害を及ぼさないよう運転しなければならないとしている.現実には1年間の交通事故死傷者数(被害者数)は約96万人,物損件数は約900万件,損害額は約3兆6千億円にものぼっているという調査結果1)がある.交通事故は絶対に発生させてはならないものである.にもかかわらず,交通事故により人的,物的に莫大な損害が発生している.
自動車交通は人,車,道から成り立っているが,その主役は運転者である.自動車交通の安全が,運転者の行動にすべてがかかっているのは,いまさらいうまでもないことである.道路交通法では,第88条(免許の欠格事由)などで生理的身体的耐性および適性・危険帯有性から不適格者の排除を規定し,安全確保への手掛かりを求めている.
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