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Case
患者:73歳,男性.
主訴:意識変容.
既往歴:高血圧,脂質異常症,前立腺肥大症,尿路結石,左眼瞼麻痺.
内服薬:ロサルタンⓇ,アトロバスタチンⓇ,ベシケアⓇ(抗コリン薬),ベタニスⓇ(選択的β3刺激薬),スピロペントⓇ(β刺激薬).
現病歴:来院5日前より感冒症状あり,PL顆粒Ⓡを眠前1包内服し始め,その辺りから尿の出にくさを自覚.来院2日前より倦怠感あり,来院当日には運転中に接触事故を起こし,その際免許証の提示を求められるも,携帯電話を差し出すなどの意識変容が見られ,救急搬送となった.
検査所見:JCS(Japan Coma Scale)2,体温39.5℃,血圧170/93,心拍数114/分,呼吸数23/分,酸素飽和度97%(室内気),項部硬直なく,頭頸部,胸部に異常所見なし.下腹部の膨隆を認め,尿失禁もあるが,導尿にて500mlの尿貯留あり.迅速検査でインフルエンザA陽性であり,腎障害BUN/Cre25.5 /1.65と,腹部CTにて著明な前立腺肥大および両側水腎症を認めた.髄液検査所見は正常で,尿検査でも膿尿は認めず.
経過:意識障害の原因として感染症によるせん妄,PL顆粒Ⓡ内服,およびこの時点ではベースの腎機能が不明であったため尿毒症も疑われ,入院となった.入院後はラピアクタ300mgの投与にて速やかに解熱し,意識変容は改善したが,MMSE(Mini Mental State Examination)15点程度の認知機能低下は残った.尿閉はPL顆粒Ⓡ内服による一過性のものとは考えにくく,バルーンカテーテル留置にて対応し,その後の腎機能は緩やかにCre1.3前後までは改善したが,それ以上の改善は認められなかった.
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