特集 この組み合わせに注意!日常診療で陥りやすいpitfall
【方法・手技・検査のpitfall!―私が経験したこの組み合わせはpitfall!】
刺青:MRIのpitfall(禁忌)のpitfall(落とし穴)
小宮 英明
1
,
原田 芳巳
1
,
大滝 純司
1,2
1東京医科大学病院総合診療科
2北海道大学大学院医学研究科・医学部医学教育推進センター
pp.391-392
発行日 2013年5月15日
Published Date 2013/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102842
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Case
患者:46歳,男性.
現病歴:来院3日前から発熱と背部痛が出現し持続したため,近医を受診したが原因不明と言われ,当院を受診した.来院時,体温38.9℃,背部の広範囲に自発痛,両下肢に筋力低下があり,精査加療目的で入院した.
既往歴:肩こりに対して数週間前に硬膜外ブロックを受けた.高血圧症と高尿酸血症で治療中.
入院後経過:発熱と下肢の脱力より脊髄病変を疑ったが,入院時の造影CTでは診断に至らなかった(図1).背部の広範囲に刺青があり,熱傷を生じる可能性があるMRI検査については患者の同意が得られなかった.確定診断がつかないまま,翌日には完全な対麻痺となった.緊急性を説明し,同意を得て緊急MRIを施行した.Th5のレベルの硬膜外に脊髄を圧迫する膿瘍が確認され(図2),急性硬膜外膿瘍と診断した.入院時に施行した血液培養から,黄色ブドウ球菌が検出された.膿瘍に対して整形外科で緊急手術を施行した後に,リハビリ訓練を行い,杖歩行が可能になって退院した.MRIで撮像した部位の刺青に,変色や熱傷は起こらなかった.
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