特集 今日の外科―連携のための最新知識
【総論】
外科医との連携
新井 利幸
1
1愛知県厚生連安城更生病院・外科
キーワード:
インフォームドコンセント(IC)
,
コンサルト
,
医師の連携
Keyword:
インフォームドコンセント(IC)
,
コンサルト
,
医師の連携
pp.286-290
発行日 2013年4月15日
Published Date 2013/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102800
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Case
胃切除後の輸入脚閉塞でショックとなった1例
症例:68歳,男性.
既往歴:胃癌で胃切除(59歳).
現病歴,身体・検査所見:飲酒後の腹痛,嘔気で救急外来を受診.腹部は平坦で軟,上腹部に軽度の圧痛あり.腹部単純X線写真では異常ガス像を認めず,CTでは上腹部に限局した小腸の拡張を認めた.膵酵素の上昇を認めたため膵炎の疑いで内科入院となった.入院2日目になっても強い嘔気と腹痛が続くため,CT再検となった.上腹部の限局した小腸拡張が増悪しており,イレウスの疑いで外科紹介となった.
経過:外科への紹介状には「イレウスの疑いです.御高診お願いします.」としか記載がなく,担当医が午前の外来を終えて病室を訪れたところ,患者はショック状態となっていた.胃切除,Roux-en-Y再建後の輸入脚閉塞症と診断して(図1),緊急手術を行い,事なきをえた.癒着屈曲によって輸入脚が閉塞し,十二指腸・空腸初部がclosed loopとなり,循環障害をきたしていた.このケースでは,胃切除後の輸入脚閉塞症という病態を知らなかったこともさることながら,入院後2日間主治医しか患者をみていなかったこと,紹介状のやりとりだけで外科医に緊迫感が伝わらずに外科診察が遅れたこと,が問題と考えられる.
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