特集 血液疾患ブラッシュアップ
【総論】
血液検査(血算)所見のみかた
長田 薫
1
1武蔵野赤十字病院 総合診療科
キーワード:
多系統の異常
,
平均赤血球容積(MCV)
,
網状赤血球数
,
白血球分画
,
偽性血小板減少症
Keyword:
多系統の異常
,
平均赤血球容積(MCV)
,
網状赤血球数
,
白血球分画
,
偽性血小板減少症
pp.200-206
発行日 2013年3月15日
Published Date 2013/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102772
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Case
著明な貧血による胸部症状で救急搬送された1例
患者:45歳,男性.
既往歴:35歳時に胃癌にて胃全摘術.
現病歴:4カ月前から労作時の動悸・息切れを自覚.舌がしみて食欲も低下し,体重が半年で7kg減少.1週前より動悸・息切れが激しく,本日「胸が苦しい」と119番し,当院救急搬送.初診医はるい痩と白髪から70代の老人と誤解.主訴から心・呼吸器疾患を疑うも,LDH 1,000IU/l,T-Bil 2.5mg/dl,Hb 6.0g/dlの検査値,正常心電図,および食欲低下,体重減少の病歴から,胃癌の再発など消化管悪性疾患を疑い消化器科に紹介.消化器医は黒色便の病歴なく肛門指診で潜血反応陰性から,消化管病変以外を想定.MCV 134flと著明な大球性貧血,胃全摘10年後,45歳で白髪,舌の発赤萎縮,食事がしみる病歴からHunter舌炎を考え,両下腿の痺れから亜急性連合脊髄変性を推定し,ビタミンB12欠乏症を疑診.ビタミンB12・葉酸を追加検査し,血液内科に紹介.骨髄穿刺で巨赤芽球や巨大好中球が確認され,ビタミンB12も20pg/mlと著明に低値で,胃全摘後のビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血と診断された.
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