特集 高齢者診療アップグレード―コツとピットフォール
【ジェネラリストが知っておきたい高齢者診療のピットフォール】
うつ病や認知症と誤診されやすい低活動型せん妄
山本 浩貴
1
,
中川 英範
1
1帯広厚生病院精神科
キーワード:
低活動型せん妄
,
軽度の意識混濁
,
うつ病
,
認知症
,
鑑別診断
Keyword:
低活動型せん妄
,
軽度の意識混濁
,
うつ病
,
認知症
,
鑑別診断
pp.902-904
発行日 2012年12月15日
Published Date 2012/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102683
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せん妄は,軽度から中等度の意識の曇り(意識混濁)に,不安や幻覚など種々の精神症状(意識変容)を伴った状態である.臨床像は意識混濁のため,注意や集中の困難,見当識障害,人物誤認などがみられ,会話は脈絡がなくとりとめがない.自分がどこにいて,周りの人物が誰なのかわからないため不安が強く,興奮状態を呈することがある.
Lipowskiはせん妄を,過活動型,低活動型,両者が混在する混合型の3亜型に分類した.日常臨床で把握しやすいのは上記の過活動型せん妄である.低活動型せん妄は,過活動型せん妄よりも発症頻度は高いといわれるが,その病態を把握しづらいためにうつ病や認知症と誤診されたり見逃されている1).本稿では,この低活動型せん妄について述べる.
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