特集 「…血が出たんです」―肛門・会陰部出血へのアプローチ―
【各論】
プライマリ・ケア医に求められる肛門出血の対応
宮崎 道彦
1
,
田中 玲子
1
1どうじん会道仁病院
キーワード:
痔核
,
裂肛
,
痔瘻
,
下血
,
直腸肛門診の目的
,
肛門出血
Keyword:
痔核
,
裂肛
,
痔瘻
,
下血
,
直腸肛門診の目的
,
肛門出血
pp.741-744
発行日 2012年10月15日
Published Date 2012/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102623
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
肛門出血を主訴に患者が受診した場合に,まず,婦人科系出血(不正性器出血)なのか,泌尿器科系出血(血尿)なのか,肛門からの出血なのかを鑑別することである.鑑別は問診で比較的容易に可能である.また問診では昨今,よく遭遇する抗血栓薬服用の有無は必ず聴取しておく.出血量が多いのであればラボデータのチェックも行う.肛門疾患の可能性が強い場合には直腸肛門診は必須である.
直腸肛門診で指先に血液が付着する場合には下部消化管内視鏡をオーダーする.タール便であれば上部消化管内視鏡検査も念頭に置く.血液が付着しない場合には便潜血検査(2日法)をオーダーし,2日とも陰性でない場合にはやはり下部消化管内視鏡検査を予定する.内視鏡検査で癌,腺腫などの腫瘍性病変,潰瘍性大腸炎,憩室炎などの炎症性腸疾患をはじめとした大腸疾患を除外してから,坐薬などを処方する.肛門疾患は痔核,裂肛,痔瘻の3疾患で9割近くを占めるため,本稿ではこれら3疾患について述べることとする.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.