Editorial
確率数値を用いた臨床判断・予測
福井 次矢
1
1聖路加国際病院
pp.407
発行日 2012年6月15日
Published Date 2012/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102507
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Prediction ruleは,すでに行われた研究や調査のデータを統計学的に解析し,確率数値を用いて,診断や予後予測,治療の適用判断・効果予測などを行うための臨床ツールである.できるだけ質(エビデンス・レベル)の高い臨床研究の結果を知ったうえで,患者の意向・価値観や医療者側の要因(経験・診療環境など)に配慮した診療(Evidence-based Medicine:EBM)の実践が求められる現今の医療現場では,Prediction ruleの有用性や重要性はますます高まってきている.
40年近く前の医学教育を受けた私にとって,そもそも臨床上の判断や予測を確率数値で考えることのギャップは大きかった.振り返るに,臨床疫学や統計学,臨床決断分析,費用効果分析などを勉強しなくてはならないと私を決心させ,その後の私の仕事の方向を定めることになった象徴的なエピソードが,1981年,私がクリニカルフェローとして赴任したばかりのボストンの病院の病棟回診で交わされた次のような会話であった.
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