連載 意思決定の統計学・4
「有意」と「確率」
松原 望
1
1上智大学外国語学部国際関係副専攻
pp.1028-1032
発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100641
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「有意」は理解されているか
日本語で「ゆうい」というと「優位」と「有為」を考えるのがふつうである。しかし,「有意」とか「有意でない」(not significant,n.s.)は,日本語にはもともとないコトバ(用語)であって,ふつうの人は知らない。編集者に「保健師さんは,有意というコトバを知っていますかね?」とたずねると,「もちろん知っていますよ。疫学・保健統計の問題は国家試験に出ます。それに本誌の投稿論文では,検定を使った研究も多いですから」との答えが返ってくる。
安心したがまだ早い。実際に論文を読んでみると,失礼ながら検定の意味をきちんと理解して使っているかどうか,疑問を感じざるを得ないものがいくつか見受けられる。
有意というコトバは受験対策的な知識以上の重要な考え方なのであるが,保健の統計ではつまずく人も多い。知ってはいるが,理解は十分にされていないようである。
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