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自己免疫性肝炎におけるHCV抗体陽性
池田 有成
1
,
戸田 剛太郎
1
1東京大学第一内科
キーワード:
自己免疫性肝炎
,
HCV抗体
Keyword:
自己免疫性肝炎
,
HCV抗体
pp.72-73
発行日 1991年1月15日
Published Date 1991/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900466
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自己免疫性肝炎は,ウイルスや薬剤による肝障害とは異なる自己免疫機序により生じる慢性の肝疾患の1つとされている.しかし,Chiron社により開発され,C型肝炎ウイルス(HCV)感染に特異的なアッセイ法とされているHCV抗体が高率に陽性であることから,HCVが,その原因である可能性が考えられるようになった.HCV抗体の測定法にはEIA法とRIA法とがあり,自己免疫性肝炎ではEIA法で測定した場合は62%,RIA法は25%で陽性であったとの報告もある1).しかし,陽性とはいえ,輸血後慢性肝疾患と比べてその抗体価が低力価(EIA法でのOD値が2.0未満)の症例が多いこと1),血中γ―グロブリン値と高い相関(図1)を認めること,ステロイド治療に伴い低下することなどから,HCVの感染とは無関係な抗体もしくは非特異的なIgGの結合を検出しているという見方が有力となっている2).
HCV抗体の検出には組み換え型ヒトースーパーオキシドジスムターゼ(SOD)とHCVの非構造部分由来のC100-3蛋白との融合ペプチドが抗原として用いられている.自己免疫性肝炎ではSODに対する抗体が高率に検出され,HCV抗体価と相関を認めている(図2))3).したがって,HCV抗体のアッセイ系において,SODに対する抗体をも検出している可能性が考えられる.
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