特集 健診データで困ったら―よくある検査値異常への対応策
【総論】
要検査と言われて再検査を受けない人の頻度と,再検査を促す工夫
石川 善樹
1
1日本ヘルスサイエンスセンター
キーワード:
再検査
,
プロスペクト理論
,
リスク認知
,
フレーミング
Keyword:
再検査
,
プロスペクト理論
,
リスク認知
,
フレーミング
pp.342-344
発行日 2012年5月15日
Published Date 2012/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102486
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「質の悪い健診は,何もしないより悪い」といわれる.これは,普通の人を対象にする以上,健診を行えば利益と不利益が生じることに由来する.利益とは,病気を早期に発見・治療することで,健康の改善が見込めることである.不利益とは,偽陽性者の心理的不安や過剰診断などが挙げられる.いうまでもなく,健診による利益が不利益を上回る時に限り,健診の実施は正当化される.しかし,再検査率が低いなど,健診の精度管理がそもそも不十分なのであれば,健診の不利益を上回る十分な利益が見込めない.であるならば何もしないほうがいい,ということである.
とくに,要検査と指摘された患者は,一般集団と比較した際に,健康に問題を抱えている可能性が高い.ところが,患者が要検査の指摘を受け流し,再検査を受けにいかないということは,健診の精度管理上看過できないことである.
そこで本稿では,要検査の指摘を受けながらも再検査をしない人の頻度について記述した後,行動科学の知見に基づいた再検査を促す工夫について詳述する.
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