Editorial
病院総合医の専門性とは
伴 信太郎
1
1名古屋大学大学院医学系研究科健康社会医学専攻総合診療医学
pp.621
発行日 2011年8月15日
Published Date 2011/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102249
- 有料閲覧
- 文献概要
本号は「病院総合医」の特集です.今日本の地域医療の崩壊が取りざたされていますが,原因の一つが病院総合医の不足であることは明らかです.家庭医は専門医認定制度も開始されており,それなりの形を整えてきていますが,病院総合医については,その形も役割も見えにくいのが現状ではないでしょうか.本特集では,病院総合医像が少しでもよく見えるように企画しました.
病院総合医の専門性は,よく議論になるところです.本特集の鼎談(670~677ページ)でも,緩和医療と感染症診療をサブスペシャリティにしている気鋭のお二人の意見は傾聴に値します.このように,領域横断的なサブスペシャリティは,病院総合医にとってもってこいのものと言えるでしょう.ほかには,医療安全,臨床倫理,漢方診療などもこのようなサブスペシャリティに分類できると思います.また,異なった視点から,症候をサブスペシャリティとする行き方もあります.すなわち,日常診療でよく遭遇し,かつ領域横断的な症候(たとえば,発熱,頭痛,腰痛,めまい,全身倦怠感など)をサブスペシャリティとするのです.さらには,医学・医療教育をサブスペシャリティとする場合もあり,これも研修医教育などジェネラリスト向きのサブスペシャリティと言えるでしょう.また,Diagnosticianとしての能力を徹底的に磨く道を追求するのも一つの行き方でしょう.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.