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はじめに
「医師に風邪と言われて実は○○だった」という経緯となることはとても多いと思います.その原因はいくつかあります.実は風邪ではなかったのに……,
① 風邪の症状に似ていて,症状も軽かったので風邪と言ってしまった
② 訴えがはっきりしなく,症状が軽かったので風邪と言ってしまった
③ 症状は強かったが,よくわからなかったので風邪と言ってしまった
④ 症状は強かったが,風邪の症状に似ていたので風邪と言ってしまった
(番外)そもそもよくわからない時は「風邪ですね」と言ってしまう
症状が風邪に似ている 症状が風邪に似ていない
症状が弱い(みため軽症) ① ②
症状が強い(みため重症) ④ ③
①~④のなかでも,①の誤診を避けるのはとても難しいでしょう.たとえば,「軽い咳のみの訴えで,初診時は見た目も元気そうだったが翌日呼吸困難で救急車で来院.実はacute MR(急性僧帽弁閉鎖不全症)」で実は心不全の初期症状としての咳だったとか,「軽い咽頭痛の訴えで実は大動脈解離」などは,見逃してはいけないのですが鑑別からすり抜けてしまうことがあります.このようなことが起こらないためにまず知っておくべきことは,総合内科外来や“コンビニ救急”外来では,重篤な疾患にもかかわらず,ビックリするくらい軽い症状で最初は受診することが実際にあるということです.
患者はなぜ軽い症状で受診するのでしょうか? そこにはいくつか理由がありますが,一つの重要な理由に日本は医療アクセスが世界最高水準なため,「きわめて病初期で受診したため症状・所見がそろわず,しかもある症状も程度は軽かった」ということがあります.日本は医療アクセスがとてもよいため,診断という意味ではとてもハイレベルな環境にみなさんはいるのです! この場合に,症状まで風邪に似ている場合は誤診を防ぐことはなかなか厄介な作業ではあります.
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