特集 Systems-based Practice
【各論】
病院で働く医療職―病院という組織のなかで働く医療職に必要なチーム医療学習
岩㟢 榮
1
1NPO法人卒後臨床研修評価機構(JCEP)
キーワード:
病院という組織
,
国家資格
,
多職種連携・協働のための学習
,
業務の法的規制
Keyword:
病院という組織
,
国家資格
,
多職種連携・協働のための学習
,
業務の法的規制
pp.184-186
発行日 2011年3月15日
Published Date 2011/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102121
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病院という組織
病院という組織は,他の組織とは違っているといわれている.それは病院組織を構成する職員の多くが多様な資格・知識をもつ専門職種で構成されていて1),それらの職員が国家資格を有する専門職(プロフェッショナル)であるからだという.病院組織の他の組織にはみられない特徴については,石井淳蔵2)により「病院組織のマネジメント」の「序章」のなかでよく纏められている.それによれば,『これらの特徴は,「いかなるミスも許されない」という病院組織の究極的な課題を中心にしてあらためて整理できる.』として,『病院は,優れた医療,高い医療倫理を要求される一方で,経営的な改善が求められている.』という.また明石純3)は,病院組織は分業や専門化の程度の高い複雑性がきわめて高く集権化の程度が低くなる傾向にある,つまり意思決定の権限が低い分権的組織で,しかも有機的構造であるという.そのためには調整機能やガバナンス機能が十分に発揮できる組織の構築が必要とされる.
現在の聖路加国際病院を創設した医師であるRudolf Bolling Teusler(ルドルフ・ボーリング・トイスラー)は,1900年に来日したが,彼は,「病院とは周到に計画され生きた有機体(living organism)である」4)と言っている.この“生きた有機体たる病院”がいまさらながら現在の病院には欠けていて有機体として機能していない.その負うところは病院で働く職員にあるとも言い得る.
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