特集 Systems-based Practice
【各論】
組織のなかで効果的に働くために求められること
種田 憲一郎
1
1国立保健医療科学院政策科学部安全科学室
キーワード:
チーム医療
,
医療事故
,
チームトレーニング
,
チームコンピテンシー
,
チームSTEPPS
Keyword:
チーム医療
,
医療事故
,
チームトレーニング
,
チームコンピテンシー
,
チームSTEPPS
pp.188-191
発行日 2011年3月15日
Published Date 2011/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102122
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Case
スー・シェリダンさんの息子のキャル君は,1995年3月23日に米国の大病院で健康な男児として生まれました.生後間もないキャル君の黄疸がひどくなるので,スーさんは医療者に心配であることを何度も訴えましたが,初めての出産で心配のしすぎだと,とりあってもらえませんでした.ようやく入院して血液検査でビリルビン高値がわかりましたが,光線療法のみで大丈夫とのことでした.しかしながら症状は悪化し,後に典型的な重症の核黄疸と診断され,今でも全身が不自由な生活をおくっています.その後の調査で,研修医がカルテに血液型を誤って記入しており親子の血液型不適合であることが見逃されていることがわかりました.
スーさんの夫であるパットさんは,1999年に頸部の脊髄腫瘍がみつかり,米国でベストと言われた脳外科医のいる病院で手術を受けました.術中の病理診断で「非定型的紡錘細胞腫瘍」と連絡があり,執刀医は良性と判断しましたが,病理医は悪性を疑っていました.術後21日目に病理から「滑膜細胞肉腫」という最終報告書が出ましたが,執刀医が目を通すことはなく,6カ月間放置されました.パットさんの脊髄腫瘍はその後痛みを伴って再発し,7回の手術と9カ月におよぶ化学療法,数回の放射線療法の末,亡くなりました.
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