特集 ジェネラリストのためのがん診療エッセンス
【各論―知っておきたい7大がん】
前立腺がん
斉藤 史郎
1
1国立病院機構東京医療センター泌尿器科
キーワード:
PSA
,
脂肪摂取
,
IMRT
,
小線源療法
Keyword:
PSA
,
脂肪摂取
,
IMRT
,
小線源療法
pp.900-903
発行日 2009年12月15日
Published Date 2009/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101816
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予防および危険因子の除去
前立腺がんは米国では男性のがんのなかで罹患数は一番多く,死亡数は肺がんに次いで二番目である.日本をはじめ東洋では少ないがんであったが,最近は増加の一途をたどっており,2000年には日本での年間罹患数が19,825人と日本人男性がんの六番目となっている.2020年にはさらにその3.41倍に増加して日本人男性がんとして肺がんに次ぐ二番目のがんになるものと予想されている1).
日本人の前立腺がんがこのように増加している要因の1つは,食生活の欧米化に伴う脂肪摂取量の増加であると考えられている.マウスを用いた動物実験でも,脂肪分を多く含んだ餌を食べるほうが前立腺がんの発育が早いことが示されている2).アメリカに移住した日本人のほうが,日本に住む日本人よりも前立腺がんの罹患率が数倍高いこともこのことから納得できる.子どもの頃から日本食を食べて脂肪摂取量を減らすことが前立腺がんの予防になるかもしれないし,また,日本人が多く摂取する大豆に含まれるイソフラボンが,前立腺がんの発症を予防できる可能性も日本人の調査で明らかになっている3).
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