Editorial
がんと新型インフルエンザHAワクチンと
伊藤 澄信
1
1国立病院機構本部医療部
pp.845
発行日 2009年12月15日
Published Date 2009/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101804
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最近の医学の進歩は速すぎる.EBMに基づく診断・治療があたりまえになったが,現在の標準的画像診断法や治療法を正確に述べられるジェネラリストは少ないかもしれない.先日,私の患者から「娘が30歳台で乳がんが発見された.治療はどうすればよいの」と相談を受けた.昔ならすぐ手術でしょうといえばよかったが,今はセンチネルリンパ節生検とか術前化学療法とかで手術のタイミングさえも変わってしまう時代になった.MRIやPET,デジタル技術の進歩はがんの診断の概念さえも変えてしまいかねない.High resolution MR mammographyによる乳がん診断,MRI拡散強調画像によるPET類似のがん全身スクリーニングなど進歩は目を見張るものがある.遺伝子診断は効果の期待できる治療を選ぶ時代へと変えていく.
髪の毛が抜けるのが抗がん剤といったイメージは分子標的薬の登場によって変わってきた.しかしながらそれは経口薬であったり,従来とは異なった副作用が散見されるのでジェネラリストも「そんな薬知らない」ではすまされない.
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