特集 非専門医のための糖尿病診療 最新のエビデンスとともに
【コラム】
新しい治療薬―インスリンアナログ製剤
植村 昭男
1
1サンビル植村内科クリニック
pp.543
発行日 2009年7月15日
Published Date 2009/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101731
- 有料閲覧
- 文献概要
糖尿病の慢性合併症を抑えるには,厳格な血糖コントロールが必要である.食後血糖を抑え低血糖を避け厳格な血糖コントロールを得るためには,生理的なインスリン分泌動態に合わせた基礎分泌と追加分泌の補充(Basal-Bolus療法)が必要である.しかし速効型と中間型ヒトインスリンの組み合わせではいくつかの問題点が指摘されていた.
生理的追加分泌に比べ速効型ヒトインスリンは効き始めが遅くて作用時間が長く,食前30分前に注射するという不便さがあった.この欠点を解消するためにヒトインスリンのアミノ酸を置換した超速効型インスリンアナログ(リスプロ,アスパルト)が開発された.皮下注射後,6量体から単量体に速やかに解離して,速効型の約半分の時間で血中濃度はピークに達する.血中濃度も高く,食直前の注射で食後高血糖を十分抑えられるようになった.持続時間が短くなったことで低血糖が減るなど,利便性・患者満足度は向上した.超速効型の長所を生かした二相性インスリンアナログも広く使われている.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.