シネマ解題 映画は楽しい考える糧[22]
「叫びとささやき」
浅井 篤
1
1熊本大学大学院医学薬学研究部生命倫理学分野
pp.305
発行日 2009年4月15日
Published Date 2009/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101673
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「良い死」とは―そのためには何が必要?
アングネス,マリーア,カーリンの三人姉妹とメイドのアンナの4人が物語の主人公.今や映画の歴史における「古典」のひとつになっている作品といっても過言ではないでしょう.上映時間87分,ひとつの屋敷を舞台にした登場人物も少ない一見こじんまりした映画ですが,その衝撃はマイケル・ベイの「トランスフォーマー」(2007年)やM. ナイト・シャマランの「シックス・センス」(1999年)に勝るとも劣りません.さまざまな解釈が可能な映画であり,映画評論家でもない私には,35年以上前にベルイマンが何を思って本作品を製作したのかはっきりいって伺い知れません.作中何が現実で何が幻想なのかもわかりません.タイトルの含意も今ひとつ.でも実に惹かれるのですね.
もちろん,さまざまな言葉と音,幾多のシーンと色が頭にこびりついており,高い文学性,芸術性についても語りたいのですが,まだ混沌として整理できておらず,また素人がそれっぽい気取った言葉を使って何か書いても,かえって興ざめに違いありません.したがって,以下医療従事者に対する意義という観点のみから本作品に言及しますのでご了承ください.とにかく一見ではなく,十見の価値ありです.
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