特集 肩こりを解きほぐす
肩こりの解剖と病態
矢吹 省司
1,2
1福島県立医科大学附属病院リハビリテーションセンター
2福島県立医科大学医学部整形外科
キーワード:
肩こり
,
解剖
,
病態
,
症例-対照研究
Keyword:
肩こり
,
解剖
,
病態
,
症例-対照研究
pp.258-260
発行日 2009年4月15日
Published Date 2009/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101659
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肩こりの現状
肩こりは,「後頭部から肩,肩甲部にかけての筋肉の緊張を中心とする不快感,違和感,鈍痛などの症状,愁訴」と定義される.平成16年の厚労省国民生活基礎調査によれば,肩こりは,男性が訴える症状の第2位,女性の訴える症状では第1位である(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa04/3-1.html).この事実は,わが国の青壮年者の多くが肩こりに悩んでいることを示している.
一方,肩こりを有している人のうち,病院や診療所といった医療機関を受診し治療を受けているのは20%との報告がある1).すなわち,われわれ医師が診ている肩こり患者は,全体数からいえばわずか5分の1に過ぎない.また,文献的にみても,肩こりをテーマとして報告された科学的論文は少なく,われわれ医師が,積極的に肩こりの治療に取り組んでいたとはいえない.このように,肩こりは多くの国民が経験している筋骨格系の症状であるにもかかわらず,われわれ医師が肩こりの全体像を把握しているとは考えにくく,その病因や病態についても解明されているとはいいがたい.
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