特集 からむ痰,うっとうしい咳
【治療】
痰の物理的に有効な出しかたは?
塩谷 隆信
1
,
佐竹 將宏
1
,
玉木 彰
2
1秋田大学医学部保健学科理学療法学専攻
2京都大学大学院医学研究科人間科学系専攻
キーワード:
ジェットネブライザー
,
超音波ネブライザー
,
体位ドレナージ
,
スクイージング
,
呼気圧迫法
,
フラッター
Keyword:
ジェットネブライザー
,
超音波ネブライザー
,
体位ドレナージ
,
スクイージング
,
呼気圧迫法
,
フラッター
pp.50-54
発行日 2009年1月15日
Published Date 2009/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101602
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Case
慢性の咳嗽と喀痰を主訴とした1例
患者:66歳,女性,主婦.
家族歴:特記事項なし.
既往歴:20年前からうつ病,約5年前から慢性副鼻腔炎.
現病歴:約1年前から咳嗽と喀痰が出現するようになった.近医にて慢性気管支炎として治療を受けたが,症状が軽快しないために当科外来を受診した.
身体所見:血圧140/90mmHg,心臓雑音は聴取しない.両側下肺野に「パリパリ」という湿性ラ音を聴取する.腹部に異常所見なく,神経学的にも特記すべき異常を認めない.
診断:肺病変は胸部X線および胸部CT(図1a)からびまん性汎細気管支炎(J1)と診断した.さらに,本例は慢性副鼻腔炎を併発していることから,副鼻腔気管支症候群(J2)と診断した.
治療経過:近年,マクロライド系抗菌薬がびまん性汎細気管支炎および慢性副鼻腔炎に有用であることが報告されている.本例に対してはクラリスロマイシン(CAM 200mg×2/日)を投与した.喀痰に対しては,ジェットネブライザーによりブロムヘキシンの吸入療法,理学療法士による体位ドレナージとスクイージングを外来で行った.これらの治療により,咳嗽,喀痰は次第に軽減し,半年後,症状の軽快とともに,胸部CT上のびまん性小粒状陰影はほぼ完全に消失した(図1b).
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