感染症が見える! グラム染色に基づく抗菌薬療法[23]
膝関節炎
谷口 智宏
1
,
喜舎場 朝和
2
1大阪医療センター免疫感染症科
2元沖縄県立中部病院内科
pp.888-891
発行日 2008年11月15日
Published Date 2008/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101541
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
症例:87歳男性,ADLは杖歩行.
主訴:発熱.右膝関節痛.
【現病歴】肺炎で入院し,セフェム系薬を投与され軽快したが,再び38℃の発熱が出現した.血液培養を採取され,感染症科に対診の依頼があった.診察すると右膝関節の疼痛と発赤腫脹を認めた(図1).右膝関節内穿刺を行い,わずかに混濁した黄色の関節液を20ml採取した(図2).
【既往歴】高血圧と慢性心房細動.内服薬;カルシウム拮抗薬とワーファリン®.
【身体所見】身長168cm,体重47kg.バイタルサイン;血圧150/90mmHg,脈拍88/分,呼吸数18/分,体温38.9℃,SpO2 98%(室内気).全身状態;悪くない.頭頸部;貧血/黄疸なし.胸部;喘鳴(wheeze)・湿性ラ音(crackle)なし.心音;不整,心雑音なし.腹部;平坦軟,圧痛なし.背部;CVA(肋骨脊椎角)叩打痛なし.四肢;右膝関節の発赤腫脹が著明で,可動痛も強い.
【検査所見】血液検査;WBC 6,700/μl,Hb 11.6g/dl,Hct 33.7%,Plt 10×104/μl,Na 137mEq/l,K 3.9mEq/l,Cl 100mEq/l,BUN 13mg/dl,Cr 0.8mg/dl,Glu 145mg/dl,AST 45IU/l,ALT 19IU/l,CRP 7.8mg/dl.
両膝関節X線;右膝関節外側関節裂隙の狭小化あり(図3).
関節液検査;WBC 34,800/μl,多核白血球90%.
遠沈した関節液のグラム染色;多核白血球2+,矢印を1+(図4a~d),白血球の貪食像あり.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.